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010 「売り込まなくていい。」|お客様の頭の中で、本当は何が起きているのか

「商品をおすすめするのが苦手なんです。」


Salon Growth Labの記事を書き始めてから、何度も感じることがあります。


それは、美容師という仕事は、お客様のことを本当に大切に考えている方が多い仕事だということです。


だからこそ、

「売り込んでいると思われたくない」

「お客様に負担をかけたくない」

「必要以上にすすめることはしたくない」


そう感じてしまうのかもしれません。

しかし、少しだけ視点を変えて考えてみてほしいことがあります。


もしかすると、「売り込んでいる」と感じているのは、美容師側だけなのかもしれません。


今日は、お客様の頭の中で本当は何が起きているのか、という視点から考えてみたいと思います。


お客様は、選ぶことに疲れている


シャンプー、トリートメント、スタイリング剤。

ドラッグストアやネット通販には、数え切れないほどの商品が並んでいます。


「このシャンプーは自分の髪質に合うのだろうか」

「口コミは良さそうだけど、本当に自分にも合うのかな」

「高いものを選んだ方がいいのか、それとも手頃なもので十分なのか」


情報が多すぎることで、逆に「自分では選べない」と感じている方は少なくありません。


これは心理学で「選択過多(チョイス・オーバーロード)」と呼ばれる状態に近く、

選択肢が増えすぎることで、人は「何を選べばいいのか分からない」という負担を感じやすくなります。


だからこそ、お客様は髪の専門家である美容師に、


「自分に合うものを選んでほしい」


と思っています。


美容師からすると当たり前に感じる知識でも、お客様にとっては、自分では判断できない大切な情報なのです。


サロンを選んだ時点で、お客様はすでに「信頼」を決めている


お客様には、たくさんの選択肢があります。


近くの美容室へ行くこともできます。

もっと価格の安いサロンを選ぶこともできます。

SNSで話題のお店を探すこともできます。


それでも、あなたのサロンへ足を運んでくださっているのはなぜでしょうか。


それは、あなたの技術、人柄、考え方、サロンの雰囲気など、何かしらの価値を感じて選んでくださっているからではないでしょうか。


つまり、お客様は来店した時点で、


「この人なら相談してもいいかもしれない」

「この人の意見を聞いてみたい」


という心理的な許可を、すでに出しているのです。


美容師が思っている以上に、お客様との信頼関係は、来店した瞬間から始まっています。


「売り込まれた」と感じる時、「教えてもらった」と感じる時


同じ商品を紹介しても、お客様の感じ方は大きく変わります。


例えば、

会計時に突然、

「こちらの商品もおすすめです」

と紹介される場合。


一方で、施術中に、

「先ほど使ったシャンプーですが、〇〇さんの髪質にはすごく合っていると思いました。もしご自宅でもケアしたいと思ったら、いつでも聞いてくださいね」

と伝えられる場合。


この2つでは、受け取る印象が違います。


前者は「勧められた」と感じやすく、後者は「教えてもらった」と感じやすくなります。


この違いを生んでいるのは、商品の価格でもブランドでもありません。


大切なのは、


タイミング

体験の途中で自然に伝えられているか。

主語「これが良いですよ」ではなく、「あなたに合っている」と伝えられているか。

文脈突然の商品紹介ではなく、会話の流れの中で伝えられているか。


という部分です。


お客様の心理では、「自分のために考えてくれた」と感じる提案はアドバイスになり、

「誰にでも同じようにすすめている」と感じる提案は営業に聞こえやすくなります。


お客様は、「聞かれる前」に答えを求めている


美容室以外の場面を考えてみてください。


歯科医院で、

「この歯ブラシがあなたの状態には合っていますよ」

と言われたら、多くの方は自然に受け取ります。


皮膚科で、

「この保湿剤を使ってくださいね」

と言われても、違和感を持つ方は少ないでしょう。


なぜなら、患者側は専門家に判断を委ねるために、その場所へ来ているからです。


美容室も本質的には同じです。


「自分にはどんなシャンプーが合うのか」

「カラーを長く綺麗に保つにはどうしたらいいのか」

「毎日のスタイリングはどうすればいいのか」


お客様の中には、まだ言葉になっていない疑問があります。

美容師が言葉にする前から、「教えてほしい」という気持ちは存在しているのです。


売り込まなくていい、ということは「提案しなくていい」という意味ではありません


ここで大切なのは、「売り込まなくていい」という言葉を、


「何もおすすめしなくていい」


と勘違いしないことです。


必要のないものを無理にすすめる必要はありません。

しかし、お客様の悩みを理解し、その方に合った選択肢を伝えることは、売り込みではありません。


それは、美容師としての専門的な価値提供です。

知らなかった選択肢を知ることで、お客様の髪の未来が変わることもあります。


そのきっかけを作れるのは、髪を一番近くで見ている美容師だからこそです。


提案がお客様に届いているかを確かめる3つの視点


商品やメニューを提案するとき、ぜひ一度確認してみてください。


その提案は、施術中の会話の延長として自然に出てきていますか?

タイミングが合えば、お客様は受け取りやすくなります。


「一般的におすすめ」ではなく、「あなたに合っている」と伝えていますか?

自分ごとになることで、提案は価値になります。


お客様が「知らなかった」と思える情報がありますか?

新しい発見がある提案は、営業ではなく学びになります。


この3つが揃った時、お客様の中では「売り込まれた」ではなく、

「教えてもらった」という感覚が生まれます。


まとめ


商品をおすすめすることに、罪悪感を持つ必要はありません。

もちろん、必要のないものを無理にすすめる必要はありません。


しかし、お客様が本当に悩んでいることに対して、専門家として答えを伝えることは、売り込みではなく価値提供です。


あなたは、商品を販売する営業マンではありません。

お客様の髪を理解し、より良い未来を一緒に考えるプロフェッショナルです。


お客様は、あなたの知識や経験を必要としています。


その知識を届けることも、美容師として大切な仕事のひとつではないでしょうか。

あなたの言葉には、あなたが思っている以上の価値があります。


Salon Growth Lab(運営:Lonfiee)は、長く愛されるサロンづくりを応援しています。

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