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047 言葉にする力は、育てていける。

前回は、SNSやホームページの言葉について、「誰に届けたいのか」を具体的に想像することで、本当に届く言葉が生まれるというお話をしました。


第四章では、お客様へ向ける言葉。スタッフへ向ける言葉。

そして、まだ出会っていない誰かへ向ける言葉。


さまざまな場面での「言葉」について考えてきました。


最後に、この章を締めくくるテーマとして、


「言葉にする力は、どのように育っていくのか」について考えてみたいと思います。



「センスがない」で終わらせてしまう前に


「自分は話すことが得意ではない」

「文章を書くことが苦手だ」


そう感じる方もいると思います。

でも、私たちがこれまでお話ししてきた「言葉にする力」は、話術や文章力だけを指しているわけではありません。


もっと根っこにあるものがあります。それは、相手に興味を持つことです。


「なぜ、この方はこの悩みを抱えているのだろう」

「どうして、この言葉を選んだのだろう」

「本当は、何を求めているのだろう」


相手を理解しようとする姿勢。

その積み重ねから、届けるべき言葉が見えてきます。


お客様の言葉の奥にある想いを受け取ること。

専門的な知識を、その方の日常に置き換えて伝えること。

スタッフの成長を願い、感情ではなく目的から言葉を選ぶこと。

まだ出会っていない誰かを具体的に想像し、その人へ向けて言葉を届けること。


これらは、生まれ持った才能だけで決まるものではありません。

日々の経験の中で、少しずつ育てていける力です。


技術と同じように、言葉も磨いていくことができます。



伝わらなかった経験を、振り返ることが言葉を育てる


言葉にする力を育てる上で、大切なのは振り返る習慣です。


なぜなら、言葉は一度で完成するものではないからです。


お客様へ提案したのに、思ったような反応が返ってこなかった。

スタッフへ伝えたつもりが、自分の意図とは違う受け取られ方をした。

時間をかけて作った投稿が、思ったように届かなかった。


サロンの日常では、そんな瞬間があります。

その時、


「自分には伝える力がない」

と結論を出してしまう前に、一度考えてみることがあります。


「なぜ、この言葉は届かなかったのだろう」

ということです。


相手が本当に知りたかったことは何だったのか。

自分が届けたかった価値は何だったのか。

選んだ言葉は、相手の視点に立っていたのか。


その問いを重ねることで、次に選ぶ言葉は少しずつ変わっていきます。


伝わらなかった経験は、決して無駄ではありません。

次の言葉を育てるための、大切な気づきになります。


例えば、一日の終わりに、

「あの時、もっと違う言い方ができたのではないか」

と思った瞬間を書き留めてみる。


「なぜ伝わりにくかったのか」

「次はどう伝えてみるのか」

一行でも十分です。


積み重なった記録は、自分自身の言葉の癖や、相手へ届きやすい表現を教えてくれます。


振り返りとは、自分を責めるための時間ではありません。

次に、もっと相手へ届く言葉を選ぶための時間なのだと思います。



誰かの言葉を借りることから始めてもいい


ただ、振り返ろうと思っても、最初から自分の中にたくさんの表現があるわけではありません。


「もっと良い伝え方があったはず」


そう感じても、その答えがすぐに浮かばないこともあります。

だからこそ、誰かの言葉を借りることから始めてもいいのだと思います。


昔、年長者から、「本を読め」と言われた経験がある方もいるのではないでしょうか。


私自身も、本を読むことを勧められた一人です。

若い頃の私は、自分の考えをすぐに言葉へ変えることが得意ではありませんでした。


仕事が終わった後や、寝る前に、


「あの時、こう言えばよかった」

「なぜ、すぐに言葉にできなかったのだろう」


そんなことを悶々と考える日々もありました。


そんな時、先輩から本を読むことを勧められました。

本を書いている方々は、長い時間をかけて経験を積み、考え、悩みながら、自分の想いを言葉へ変えています。


その方が人生を通して磨いてきた考えを、私たちは本を通して学ぶことができます。

文章だけではありません。


その人が何を大切にしているのか。

どんな視点で物事を見ているのか。


行間から伝わってくるものがあります。

心に残った表現は、ノートに書き留める。

何度も読み返す。

時には、自分の言葉として誰かへ伝えてみる。


最初は誰かの言葉だったものが、自分自身の経験や考えと重なった時、少しずつ自分の言葉へ変わっていきます。


真似ることは、成長の入り口です。


良い言葉を知ることが、自分自身の言葉を育てる土台になります。



一番身近な練習相手は、目の前の一人


言葉にする力は、特別な場所でしか育たないものではありません。

毎日のサロンの中に、その機会があります。


目の前のお客様。

隣で働くスタッフ。

日々交わす何気ない会話。


その一つひとつが、言葉を磨く場所になります。


「今の伝え方で、相手はどう感じただろう」

「もっと寄り添った表現はあっただろうか」


そう考える習慣が、少しずつ言葉の深さを育てていきます。



言葉は、あなたの想いを届けるもの


第四章では、

お客様へ向ける言葉。

スタッフへ向ける言葉。

そして、まだ出会っていない誰かへ向ける言葉について考えてきました。


どの場面にも共通していたことがあります。

それは、

言葉は、想いそのものではなく、想いを届けるためのものだということです。


どれだけ大切な想いがあっても、相手へ届く形になった時、初めて価値として伝わります。

でも、その形は、日々の経験の中で育てていくことができます。


技術も。

経験も。

人柄も。


すでに、あなたの中にあります。

あとは、それを誰かへ届けるための言葉を、少しずつ育てていくこと。


その積み重ねが、お客様との信頼になり、スタッフとの関係になり、サロンの未来をつくっていくのだと思います。

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