040 離れていくお客様にも、理由がある。
- lonfieekyoto
- 7月22日
- 読了時間: 4分
前回は、値上げは、お客様との関係を壊すものではなく、これからも良い状態でサロンを続けていくための選択だというお話をしました。
しかし、どれだけお客様を大切に思い、誠実に向き合っていても、離れていかれるお客様はいます。
今回は、サロンを続けていく中で、誰もが経験する「別れ」について、考えてみたいと思います。
お客様が来なくなると、心に残るものがあります
長くサロンを続けていると、ある日、ふと気付くことがあります。
「あれ、最近あのお客様、来られていないな」
いつも座ってくださっていた席。
いつもの会話。
その方の好みや、髪の悩み。
そうした小さな記憶があるほど、来店が途切れた時には、少し寂しさが残ります。
「何か気になることがあったのだろうか」
「もっとできることがあったのではないか」
技術者として、人として、お客様を大切にしているからこそ、そう考えてしまうのは自然なことです。
別れに慣れることは、悪いことではありません
しかし、長くサロンを続けていると、別れの経験も少しずつ積み重なっていきます。
最初の頃は、一人のお客様が離れてしまうたびに、大きく落ち込んでいたかもしれません。
「あの対応が悪かったのかな」
「もっと喜んでもらえる方法があったのではないか」
何日も考えてしまうこともあったと思います。
でも、経験を重ねる中で、少しずつ受け止め方が変わっていきます。
「ああ、またこういう時期が来たんだな」
そう思えるようになる。
これは、冷たくなったということではありません。
多くの出会いと別れを経験する中で、「すべてを自分の責任として抱え込まなくてもいい」ということを学んだからです。
人には、自分の力では変えられない変化があります。
引っ越し。
生活環境の変化。
仕事や家庭の事情。
使える時間やお金の優先順位。
どれだけ良い技術を提供していても、どれだけ大切に接していても、避けられない別れはあります。
でも、慣れることには注意も必要です
一方で、経験によって身についた「受け止める力」が、別の方向へ向かってしまうことがあります。
それは、「気にしなくなる」という方向です。
「あのお客様、最近来てないな」
そう思った瞬間に、「まあ、よくあることだ」と流してしまう。
もちろん、すべての離れていくお客様を追いかけ続ける必要はありません。
しかし、そこで完全に関心を失ってしまうと、小さな変化を見逃してしまう可能性があります。
以前より予約の間隔が空いていた。
会話の雰囲気が少し変わっていた。
提案への反応が以前とは違っていた。
もしかすると、その前に何か小さなサインがあったかもしれません。
第二章でお話しした「違和感を大切にする」ということは、こうした場面にもつながっています。
「あれ、少し変わったな」
その小さな感覚を、経験によって消してしまわないこと。
大切なのは、傷つかないことではなく、感じ取る力を失わないことです。
すべての失客には、意味があります
もちろん、すべてのお客様をつなぎ止めることはできません。
しかし、「なぜ離れていったのだろう」と考えることには意味があります。
もし、一人のお客様との別れであれば、その方の人生の変化かもしれません。
でも、同じような理由で何人ものお客様が離れているのであれば、それはサロンからの大切なサインかもしれません。
予約が取りづらくなっていた。
価格とのバランスが変わっていた。
お客様の変化に、サロンの提案が追いついていなかった。
そこに気付くことができれば、次に出会うお客様との関係を、より良いものに変えていくことができます。
離れていったお客様も、サロンの歴史の一部です
離れていったお客様を、「失った人数」とだけ考えてしまうと、残るものは寂しさだけかもしれません。
でも、その方との時間は、決してなくなりません。
どんな会話をしたのか。何に喜んでくださったのか。何を求めてくださっていたのか。
その経験は、今のサロンをつくっている一部です。
出会ったすべてのお客様が、今も通い続けてくださるわけではありません。
それでも、その一人ひとりとの時間が、今のあなたの技術になり、接客になり、サロンの価値になっています。
別れを恐れるより、今いるお客様を大切にする
サロン経営を続けていく中で、出会いと別れは必ずあります。
大切なのは、離れていくことを恐れるあまり、今目の前にいるお客様との時間を薄くしないことです。
すべてのお客様を守ろうとして、誰にも深く向き合えなくなってしまっては、本末転倒です。
離れていく方がいる一方で、新しく出会う方もいます。
そして、今ここにいてくださるお客様との時間を、丁寧に積み重ねていく。
その積み重ねこそが、10年後も選ばれるサロンをつくっていくのだと思います。
次回は、第三章の最後として、「一生のお客様」という考え方について、お話ししたいと思います。
一度も離れない関係ではなく、長い時間をかけて育つ関係について、一緒に考えていきます。
コメント